レジリエンス ヒーリング

その日大切だと思ったことを綴っていきます。

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彼女が泣いた本当の理由

◇涙の理由の裏側

生まれて初めて作った割りばし鉄砲で、輪ゴムを飛ばそうとしたら角度が足りず、上手く飛ばすことができない。何度も同じことを繰り返すうちに、飛ばないのは輪ゴムが悪いんだと泣いて怒り始める6歳女子(娘)。

「作っている時は楽しかった。でも飛ばそうとしたら使えなくて途端につまらなくなった。輪ゴムが悪い。割りばしが悪い。ゴムで留めてるのに割りばしが動くのが悪い。」そういって泣き続ける。

「○○はどうなれば良かったなと思うの?」

そう尋ねると

「ちゃんと(引き金を引いたときに引っかからずスルッと)輪ゴムが飛んで、(持ち手の三角の部分が)握るとすぐにぐしゃっとなっちゃわなければいい。」

「じゃあ、そうなるようにお母さんと一緒に作ろうか?」

首を振る

「じゃあ輪ゴムがちゃんと飛んで、握ってもぐしゃっとならないようにする方法をお母さんは知ってるけど、知りたい?」

首を振る

「・・・・。(あ、そういえば)」

◇回想

初めて作った割りばし鉄砲。本人からは、うまく作れず、ほとんど先生に作ってもらったと言う。それでも、自分で出来るところは作ったそう。そしてふと、そう言えば。と学童からの帰り際、先生から、「○○ちゃんだけ長く時間がかかって、最後やーっとできたんですよ」困ったような安堵したような、そんな感情が入り混じった笑顔で言われたのを思い出す。

普段から家以外では困ったときすぐ助けを求めることをしない彼女。

それを知ったのは、授業参観にいったある日、図工の時間で折り紙で切り花を作ると言い、先生が前で作り方を説明していた時のこと。最初はみんなとついていけていたが、途中から折り方が理解が出来なくなり、グループの中で1人だけ作業が遅れていた。困って何とか皆に追いつこうと、慌てて焦った手で何度もおり直すうちに、どんどん折り目が増えていく。隣の子に助けを求める勇気もない娘は、小さな手の中でクシャクシャになっていく折り紙を見て、溢れる感情が抑えきれず顔を歪ませ、涙目に。先生はそれに気が付かず、他の子も後を追うようにどんどん作業を進めていく。その時私は、先生に手を挙げて「わからなくて困っている」と主張することもできないでいる状況を見て、普段から自分は出来ない。助けてもらえない。置いていかれる。という体験を通して沢山の孤独や、やるせなさから自己肯定感を下げ、日々学校生活を送っていたのだと、彼女の日常を垣間見ることになった。そして、1人一番後ろの席で息を殺して、小さな肩を震わせながらポロポロと涙を流している姿を思い出す。

今回の割りばし鉄砲もそんな状況で作っていたのかもしれないと思い至った。

◇気付き

そして彼女が欲しいのは、壊れない割りばし鉄砲の作り方や、作るための環境(サポート)ではない別の事であることに気が付いた。そして声のかけ方を変えることにした。

「凄いね。○○は初めて割りばし鉄砲を作ったんだよね。よく形が出来ていると思うよ。」

「そんなんじゃダメなの。ちゃんと飛ばないし、すぐ変な風になるし。」

「お母さんだって初めての事をするときは、失敗が多いよ。失敗がダメなんじゃない。初めてのものを作ったことが凄いんだよ。初めての事をするってとっても大変なの。それに挑戦したのが凄いんだよ。」

「でもみんな作ってるもん。」

「他の子は関係ない。あなたが初めて作って形にしたことが凄いの。○○ちゃんは初めてなのにちゃんと形になってる。」

「でも殆ど先生がつくったし」

「それでも、○○ちゃんも出来るところはやったんでしょ?」

頷く

「凄いね。頑張ったね。お母さんは凄いと思うよ。」

◇本当の原因

彼女が自分の中に受け止めきれず溢れてしまった、自分は出来ない。ダメなんだという想いを、輪ゴムがダメなんだ。割りばしがダメ。と責任をすり替えることで、自分の中の心が壊れてしまうのを防ぎ、均衡を保とうとしている状態であると理解した私は、ひたすら彼女の出来るやれる頑張れる探しをし、あなたは素晴らしいとほめ続ける。抱きしめられることを今は求めていない彼女の為に頭や背中をなでながら。

すると次第に彼女の顔から笑顔が垣間見られてくるように。そして彼女は割りばし鉄砲じゃない別の自分が本当にやりたいと思っていた事を思い出し、座り込んで動けなくなっていた体に力を入れ立ち上がる。

それは出来ないで渦巻いていた思考が解け、そこから本当に今やりたい事に気が付き、実際の行動として動き始めた瞬間だった。

彼女が本当に欲しかったのは、自己を肯定するための言葉。

◇終わりに

そしてその時ふと思ったことがありました。大人も子どもも関係ない。どれだけの人たちが小さい頃に愛さず、認めらず、受け止めらず、許されてこなかったんだろうかと。そしてどれだけの人が、愛されたくて、認められたくて、受け止められたくて、許されたがっているんだろうかと。子どものように愛を求める大人。きっとそれは一人では解決できなくて、求めているのにどこにもなくて、子どもと違って大人だから出来ることも多くて、プライドや恥が膨らんで余計にこじれていってしまうのではないかと思いました。一人で一人の人を気にかけ続けるのは大変なことだろうと思います。でも沢山の人が少しずつ関われる時間と距離感で関わっていくことが出来たら、気にかけることが負担ではなく経験の一つになるのではないかと思いました。

もっと大人も子どもも学年年齢仕事関係なく交流が持てて、それぞれのペースで関わりあい寄り添いあい支えあえる時間で溢れていたら。そんなことを考えていたら実際にそれに近い世界を作り始めている人たちを思い出しました。わくわくの才能溢れる素晴らしい人たちの活躍に、今後の世の中が楽しみだなと思いました。

 

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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