相手の命の使い方

◇事の始まり

料理中、隣室で「おかあさーん」と呼ぶ娘（６歳）の声がしました。

話を聞くと折り紙を折っている途中、訳が分からなくなったといい、少しイヤイヤモード。

「手伝って」と言うので、料理していた手を止めて、どこまで進んだか確認すると、まだほんの2折り程度。本を参考に折っていたようでしたが、それは３０年以上前の本で、折り方の説明に言葉はなく、簡素な絵の説明だけで記されていたので、確かに折り紙を折り慣れていなければ読み解くのが難しいなと感じるないようでした。

それでも本に書かれている絵の見方と、実際に折る時のコツを合わせて説明しながら教えようとすると、「わかんない！わかんない！むずかしいの！」とイライラした感情が抑えきれず、落ち着いて話を聞くことが出来ない様子。

「どうする？一緒に折ってやってみようか？」

そう言ってしばらく待つと、頷いたので、彼女が見やすいように本の中の折り紙の位置と折り紙の角度を同じにして一つずつ、説明をしながら折り進めていきました。

途中、娘が折り紙をもってクルクル回し始め、違う角度から降り始めようとしたので、

「それだと、どれが上だかわからくなっちゃうよ。テーブルに置いたまま、押さえて折るようにした方が本と同じ角度から折れるから分かりやすくていいよ。」と伝えると

「テーブルに置いたまま折るなんて出来ない！余計にわかんなくなっちゃうよ！」と怒り出し始めます。わたしは

「・・・○○？お母さんは、あなたが折り紙が折れないからと言うから、わざわざ料理したいと思っていたけど、その手を止めて、あなたの為に時間を作って折り紙が折れるように協力しているの。にもかかわらずあなたは、そのお母さんのアドバイスを聞かずに、自分はこうだと思っているという、自分だけの主張で折り紙を折ろうとしてるの。それってお母さんをわざわざ読んで手伝わせる意味がないと思いませんか？自分のやりたいようにだけ折るのなら、一人で折っているのと一緒です。○○はどうしたいんですか？」

「・・・じゃあ、自分で折る！・・・ってことになっちゃうってこと？」

「そうだね」

「じゃあ自分の事は何にも言っちゃいけなくて全部ゆうことを聞かなきゃいけないってこと？」

「そうじゃない。自分の意見は言ってもいい。ただ、お母さんの手助けを借りたいと思っているのなら、お母さんの意見をまずは聞こう。あなたは折り紙を折っていて、自分だけではどうしても折れないと思って困ったから、お母さんに折り方を教えてほしくて呼んだんだよね？」娘頷く。「なら自分では出来ない方法をお母さんから教えてもらうことで折れるようになるために、まずは人の話を聞こう。そうやってできたら、○○の折り紙を折る幅が広がるでしょ？」「折り紙は伸び縮しないから広がらないよ」「つまり上手く折れるようになるってこと。それを踏まえて○○はどうしたいですか？」「・・・・まずは自分でおる」「わかった。困ったことがあったらいつでも声をかけてね」娘頷く。

数分後「お母さん。折り方が分からなくなっちゃった。」「うん、それでどうしてほしいのかな？」「手伝ってほしい。」「じゃあどこまでできたか確認しようか。・・・ここまでできたんだね」「うん」「綺麗に折れてて凄いね。じゃあ続きを見てみようか。この絵はここに折り目が付いてる。じゃあどうすればいいかな？そうだね。指で押さえて、同じ形になるように・・。」

娘は、何か言いたくなるのを我慢して私の誘導でキチンと折り紙を折っていきました。

そして、終盤に差し掛かると「あ！こうだね！」そういって、私の存在は忘れて自分なりに折り紙を折っていきました。そして、ついにカエルが完成。

色を塗る！と言って自分は緑。私にはピンク色のカエルを作ってプレゼントしてくれました。

◇回想

書きながら思い出したことがありました。橋本先生という私の堆肥の先生が、外部講師として企業に呼ばれた際、先生が「これはあかん」と言って、堆肥造りの改善点をその企業の社員に説明をするも、「あいつら全く人の話を聞かん。コストがかかる。場所がない。言い訳ばっかりで、美味しい野菜を作るための良い堆肥を作ろうと言う気がない。そんな人たちと話しても時間の無駄」と立腹して話しているのを思い出しました。大切な命の時間をどのように使うか。相手側がお金を支払っているから、何を言っても何をしてもいいだろう。そんな発想では、こちらの命の時間が勿体ない。そんな人たちに時間を使うなら、もっと向上心のある同じ思想の仲間とともにより良いものを作るためにはどうするか、語り合った方がよっぽどいい。そんな事を言いたかったのかなと思いました。

立場は違えど、同じことだと私は思いました。人に何かをお願いをするときは、その相手の時間を頂くことで、自分には無い何かを得、さらなる飛躍や発展、あるは人生の新しい捉え方や考え方の幅が広がるようなそんな時間となるように、使っていかなければいけないと感じます。

いや、本当、子育てって人生勉強ですね。娘よありがとう。

今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

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